
こんにちは、ONLYPRODUCTS株式会社の言美友宏です。
この記事では、多くの美容室経営者が直面する「運転資金の融資の壁」を乗り越えるための戦略を徹底解説します。
従来の多店舗展開が抱える人材リスクや高い固定費といった構造的な課題を金融機関の視点も踏まえて解説。
多店舗展開の代わりに在庫ビジネスの立ち上げと法人化により、美容業界が抱える単価が上げられない、長時間労働になりやすいという問題も解決できます。
この記事を読めば在庫ビジネスの立ち上げと法人化がいかに融資を成功させ、経営体質を根本から強化するのかがわかります。
融資を受けにくい美容室経営と並行して、持続的な成長を実現する経営のヒントを盛り込みましたので、ぜひ参考にしてください。
Contents
押さえておきたい美容室経営と融資の関係
こちらでは、美容室経営において運転資金の融資が難しい理由を金融機関の視点を踏まえて解説します。
美容室経営の構造的問題と金融機関の視点
美容室は、施術を主軸とする労働集約型ビジネスであり、財務諸表上、現金化を前提とした「棚卸資産(在庫)」がほとんど存在しません。
これが、運転資金の計算根拠が不明確であるため、融資審査で不利になる大きな要因であり、美容室経営の構造的な問題です。
事業の資金使途は「設備資金」と「運転資金」の二つに大別されます。
- 設備資金:内装工事や高価な美容機器の導入など、長期に使用される資産への投資
- 運転資金:人件費、家賃、仕入れ費など、日々の事業活動に必要な費用
一般的に、運転資金は売掛金(まだ回収していない売上)と棚卸資産(在庫)から買掛金(まだ支払っていない仕入れ費)を差し引いた金額で算出されます。
美容室の場合、以下のような使途が明確な資金しか運転資金として借入ができません。
- キャッシュレス決済など、入金までにタイムラグが生じるものへの対応資金
- 年末年始や夏季休暇前の繁忙期に向けて、一時的に人件費や仕入れ費用が増加することへの対応資金
項目 | 設備資金 | 運転資金 |
---|---|---|
資金の性質 | 現物資産への投資 | 消えていく費用 |
担保評価 | 高い | 原則として低い |
融資難易度 | 比較的低い | 比較的高い |
美容室が「運転資金」の融資に苦戦する理由
金融機関が融資審査で最も重視するのは「資金使途の明確性」と、融資した資金が将来どのように回収されるかの「道筋」です。
人件費や仕入れ費といった日常的な経費は、金融機関から見ると「本来毎月の売上から賄うべき」ものと判断されます。
これらの費用を借入で補おうとすることは、「資金繰りに行き詰まっている」「通常の経営ができていない」というサインとして受け取られかねません。
また、運転資金は担保となる現物資産がない「消えていく費用」であり、労働集約型で利益率が低いと見なされがちな美容室は、融資難易度が上がります。
このため、融資額は年商の半分程度など、小規模に限定される傾向があります。
多くの融資を受けるためには、資金使途を「日常経費の補填」ではなく、「将来の収益を生み出す健全な成長投資」であることを明確に説明する必要があります。
美容室にも運転資金として融資を受ける道がある
ここまでで解説した通り、美容室経営において運転資金を借り入れるのは難しいです。とはいえ、美容室経営でも「運転資金」として融資を受ける道はあります。
こちらでは、融資を受ける方法とその理由を解説します。
在庫ビジネスとしてプロフェッショナルブランドを立ち上げる
美容室経営と並行して在庫をもつビジネスを展開することで、美容室経営の問題を根本から解決できます。
在庫ビジネスの中でも、自社の強みを商品にするプロフェッショナルブランドの開発は、美容室の強みを発揮するにも大きな武器です。
美容室は、施術というを主軸とした労働集約型ビジネスであり、財務諸表上、現金化を前提とした「棚卸資産(在庫)」がほとんど存在しません。
しかし、ブランドを立ち上げ、自社商品を開発することで、「現金化されるまでの期間」として、運転資金の算定がしやすくなります。
この戦略は、単に融資を受けるだけでなく、事業自体の財務基盤を強化する本質的に変革することにもなります。
運転資金として算出できる理由
従来の美容室経営は、在庫を持たないため、運転資金の使途が曖昧になりがちでした。しかし、ブランド商品を開発し在庫を持つことで、財務的な計算根拠が生まれます。
運転資金の算出計算式
運転資金 = 1日当たり売上高 × (売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 − 買入債務回転期間)
この式からもわかるように、棚卸資産(在庫)は「現金化されるまでの期間」として、運転資金の算定における重要な構成要素です。
ブランド立ち上げに伴う運転資金は、「プロフェッショナルブランド商品の仕入れ費用」という明確で前向きな資金使途となります。
在庫があることで、運転資金の必要額が計算可能になることから、「新事業への健全な成長投資」として評価しやすくなります。
在庫担保融資(ABL)という選択肢も取れる
「ABL(アセットベースドレンディング)」は、不動産のような固定資産ではなく、在庫や売掛金といった流動資産を担保として融資を受ける手法です。
金融機関は不良在庫を嫌うため、融資の担保となる在庫は、流動性があり、商品価値が担保として成立することが前提である必要があります。
不動産がない美容室経営者にとっては、ABLは「第三の資金調達手段」となり得ます。
OEM BANKの強みは、美容師自身が自信を持って顧客に勧められる、市場のニーズを捉えた「売れる商品」の開発ノウハウにあります。
ABLの担保としても高く評価されるような不良在庫化するリスクが低いと説明するサポートも可能です。
美容室の信用力を高める「法人化」
こちらでは、美容室の信用力を高める「法人化」について解説します。
個人事業主と法人の信用力の違い
個人事業主の信用は、経営者個人の信用に依存する一方、法人は法律に基づいた独立した法人格を持つため、社会的信用が高くなるというのが一番の違いです。
個人事業主と法人の違いは以下の表にまとめましたので参考にしてください。
項目 | 個人事業主 | 法人(株式会社) |
---|---|---|
社会的信用 | 主に個人の信用情報に依存 | 法人格による高い信用力 |
融資限度額 | 比較的小規模 | 信用力に応じて拡大が可能 |
経費計上範囲 | 比較的狭い | 広範囲に計上可能 |
事業承継 | 煩雑な手続きが必要 | 株式の相続により円滑化 |
設立費用・手続き | 不要 | 20〜30万円程度の費用と手続きが必要 |
法人格は、事業主の死亡、病気などのリスクから事業を分離させるため、事業の継続性という観点からも、信用力を一層強化します。
ブランドの立ち上げと同時に法人化を進めることは、新規事業という成長戦略と財務的な信用強化を両立させる、戦略的な経営判断になります。
経営者が将来的に現場を離れるとなった際には、事業の承継や売却も可能。
50代・60代になっても美容師として働き続ける不安を抱える人にとっても、出口戦略を確保できるのも大きなメリットです。
法人化による具体的な効果
法人化による信用力の向上により、金融機関からの融資審査において、融資限度額の拡大や有利な金利での借入の可能性が高まるのが大きな効果です。
さらに、在庫ビジネスの立ち上げを目的とした法人化であれば、「新規開業・スタートアップ支援資金」などの融資制度を活用できる可能性があります。
個人事業主よりも大規模な事業投資が可能になるため、プロフェッショナルブランド、ひいては在庫ビジネスのための資金を集めやすくなります。
法人を対象とした補助金や助成金、融資制度を活用できるため、法人化することにより資金調達の選択肢も広がります。
ブランドビジネスの美容室経営的メリット
こちらでは、ブランドビジネスの美容室経営的メリットを解説します。
労働集約型ビジネスが抱える人の課題が解決できる
プロフェッショナルブランド事業を立ち上げれば、美容室経営の労働集約型ビジネスが抱える「人の課題」を根本的に解決できます。
事業が軌道に乗って経営が安定すれば、現場の「人」の管理負担が軽くなるため、より戦略的な経営判断に集中できるようになります。
従来の美容師のキャリアパスは、アシスタントからスタイリスト、そして店長や独立・多店舗展開へと続くのが一般的でした。
ブランドビジネスを導入することで、「商品開発者」「ブランドマネージャー」といった新しいキャリアの選択肢を従業員に提示できるようになります。
これにより、優秀な人材の囲い込みも可能になるため、人材定着率が向上します。
多店舗展開ほどのリスクなく売り上げを上げられる
プロフェッショナルブランドの導入は、従来の多店舗展開のような大きなリスクを伴わずに、売上拡大と安定した経営基盤を同時に実現します。
項目 | 多店舗展開モデル | 在庫ビジネス (メーカー・代理店ビジネス) |
---|---|---|
初期投資 | 高額 (内装、機器、家賃など) | 比較的低額 (OEMロット、デザイン費など) |
固定費 | 家賃、人件費が増大 | 増加が抑えられ、 在庫仕入れ費が主 |
人材リスク | 独立・離職リスクが店舗数分増幅 | 新たなキャリアパスで リスクが軽減 |
収益構造 | 景気や立地に依存 (単一構造) | サロン外の収益源が加わり 柱が増加 |
労働集約度 | 高い (施術時間=売上) | 商品販売で労働と売上が 切り離される |
多店舗展開は、売上増が見込める一方で、高額な初期投資に加え、家賃や人件費といった固定費が大幅に増加します。
いわゆる“売上が膨張しているだけ”の状態になるため、集客が計画通りに進まないと、コスト負担だけが膨らむ大きなリスクを抱えます。
一方で、ブランドビジネスは、比較的低額な初期投資で済み、固定費の増加が抑えられます。
結果として、ブランドビジネスは、多店舗展開よりも費用や時間に対する効果が高くなる、持続的な成長を実現する戦略的なメリットです。
ブランドを自分でできる?と思う方には「mm.」
プロフェッショナルブランドの立ち上げについて、不安を感じる方には、「mm.(ムム)」の代理店からスタートすることをおすすめします。
「mm.」はすでにサロン専売品でのマーケティングを行い、需要のあると判断して作られた商品の代理店です。
自社でブランド開発をする必要がないため、ブランド事業の立ち上げを小さく始められる、いわば「メーカー事業のブートキャンプ」です。
プロフェッショナルブランド立ち上げの前に、将来的に大きな融資を受けるための経験と自信を築けます。
というのも大きな融資を引き出すには、安定したビジネスモデルに加え、通常、法人として最低2期の決算書と年商規模も一定必要です。
初期段階でこの高いハードルをクリアするのは容易ではありません。
「mm.」で積み上げた経験と実績を基に、プロフェッショナルブランドの融資を受ける際の具体的で説得力のある事業計画を金融機関に提示できるようになります。
OEM BANKはあなたのビジョンを実現するワンストップパートナー
「OEM BANK」の最大の強みは、確かな「商品力」と、市場分析を基にしたプロフェッショナルブランドを構築するノウハウです。
特に、高機能還元水を使用した製品開発は、顧客満足度の高い「売れる商品」を生み出す大きなアドバンテージになります。
多忙な美容室経営者が新規事業を立ち上げる際の負担を軽減するため、企画・製造・マーケティングに加えてファイナンスまでを一貫してサポートします。
特に重要なのが「ファイナンスサポート」。融資の成功には、金融機関の評価基準を理解した説得力のある事業計画書が不可欠です。
OEM BANKは、サロンの財務状況を分析し、融資成功率を向上させるための事業計画書作成を支援します。
労働集約型ビジネスから脱却し、未来を創る経営者へ
美容室経営者が直面する「運転資金の融資の壁」は、資金繰りの問題ではなく、労働集約型ビジネスという構造的な課題に原因があります。
多店舗展開モデルは、収益増加と引き換えに、固定費の増大や人材リスクの増幅という隠れたコストとリスクがあります。
美容師やオーナーは髪のカットやカラーなどの技術を高める環境にいますが、経営のヒントや売上を上げる方法を学ぶ環境にはいません。
長時間労働が常態化しやすい業界でもあるため、ビジネスを考えるのはどうしても難しいです。売上を上げるためには多店舗展開という考えになるしかありません。
融資を美容室を存続させるための借り入れではなく、事業を立ち上げ、事業を成長させるための借り入れを行なっていってください。
自らのビジョンを実現し、持続的な成長を可能にするための「投資」と捉えられるようになれば、「美容師」から「ブランドオーナー」へと進化します。
気になる方や、詳しく聞いてみたいという方は、以下の問い合わせフォームからお問い合わせください!