

こんにちは、OEM BANKラビットです。
この記事では、美容室が代理店事業から自社ブランドを立ち上げ、ブランド事業を大きくしていくまでの流れを、売り先づくりの視点から解説します。
「うちの美容室のシャンプーを作りたい」。そう考えたとき、処方やボトルのデザインから考え始めていませんか。
ところが、商品ができあがった後に「これを、どこの誰に売るのか」で止まるケースは少なくありません。
僕たちONLYPRODUCTSは、自社ブランドを立ち上げたい美容室に、商品づくりより先に売り先をつくる順番を勧めています。
その入口が、mm.(ムム)の代理店事業です。
代理店事業が美容室スタッフの「次のポジション」や離職対策になる理由は、こちらの記事で詳しく解説しています。この記事はその続きです。
>>美容師の離職率を下げる方法|美容室の「次の売上の柱」をmm.の代理店事業でつくる
この記事では、その続きとして、代理店から自社ブランドを立ち上げ、ほかの美容室へ広げて育てるまでの4つの段階を、実際の例とあわせて解説します。立ち上げ資金が足りない美容室への、僕たちの出資についても触れます。
美容室の自社ブランドは「商品」ではなく「売り先」で詰まる
自社ブランドの相談を受けていると、多くのオーナーが最初に気にされるのは、商品の中身です。
どんな成分にするか、どんなボトルにするか、いくらで作れるか。もちろん、どれも大切なことです。
でも、ブランドが止まる原因の多くは、商品ができあがった後の「どこに売るか」にあります。
ここでは、美容室向けの化粧品市場と美容所の数から、売り先が詰まりやすい理由を整理します。
美容室向けの化粧品市場は1,617億円。新しく開く店は減っている
矢野経済研究所の調査では、2025年度の理美容向け業務用化粧品の市場規模は1,617億円(前年度比100.4%)でした。
来店客数が伸び悩むなか、市場を支えているのはヘアケアを中心とした店販品(サロン専売のホームケア商品)だと分析されています。
一方で、美容所の新規の使用確認件数は、2024年度に1万2,433件(前年度比13.1%減)。2年続けて減っています。
出典:矢野経済研究所「理美容向け業務用化粧品市場に関する調査を実施(2026年)」(2026年4月20日)
つまり、美容室向けの商品を売る相手は「これから開く店」より「すでにある店」が中心です。
そして、すでにある店には、すでに取引しているメーカーやディーラーがいます。
売る相手は全国27万4,070の美容所。ただし名前と連絡先がなければ売れない
厚生労働省の衛生行政報告例では、2024年3月末の美容所は27万4,070施設です。
数だけ見れば、商品を置いてくれる美容室はいくらでもありそうに見えます。
でも、美容室から美容室へ商品を売るBtoBでは、数だけでは動きません。
BtoBで商品を動かすのに必要な3つ
- 店の名前
- 連絡先
- 「話を聞いてもらえる関係」
この3つがそろったものを、この記事では「リスト」と呼びます。
美容師の稼ぎ方を「施術」ではなく「流通」で考える視点は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>美容師が稼ぐには「流通」を知ること|常識をぶっ壊して年収を上げるポイント
商品を先に作ると、在庫と「どこに売るか」が同時にのしかかる
商品を先に作ると、在庫を抱えた時点から、売り切るまでの時間との勝負が始まります。
そこで初めて「どこに売るか」を考えることになる。これが一番苦しい順番です。
僕たちは、作るときにはマーケットインとプロダクトアウトの違いを考えるべきだと話しています。
プロダクトアウトになると、どうしても作りたい商品、職人目線の商材ができあがってくるからです。
売り先が決まらないまま商品を作ると、在庫と販路の問題が同時にやってきます。
売り先が決まらないまま商品を作る失敗と、在庫と初期費用の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>美容室のオリジナルシャンプーで失敗する共通点|商品を作る前に考えるべきこと
>>美容室のオリジナル商品で利益を残す考え方|「何本売れるか」より「いくら残るか」で考えろ!

商品を作るのは、売り先が見えてから!
美容室の代理店事業とは?メーカーの商品を、ほかの美容室へ広げる仕事
売り先を先につくる方法として、僕たちが勧めているのが代理店事業です。
ただ、「代理店」と聞くと、商品を仕入れて売るだけの仕事をイメージする方も多いと思います。
ここでは、代理店とメーカー(自社ブランド)の違いを整理したうえで、mm.の代理店が、なぜ自社ブランドの前の段階として設計されているのかを解説します。
代理店とメーカーの違い
美容室の代理店事業とは、メーカーの商品を仕入れ、自店で使ったり販売したりしながら、ほかの美容室にも導入してもらう仕事です。
自分で商品を作るメーカー事業と比べると、違いはこうなります。
| 代理店 | メーカー(自社ブランド) | |
|---|---|---|
| 誰の商品か | メーカーの商品 | 自社の商品 |
| 商品の企画・製造 | しない | する(OEM会社に製造を委託できる) |
| 在庫 | 仕入れた分 | 製造した分(ロット単位) |
| 価格を決めるのは | 主にメーカー | 自社 |
| 手元に残るもの | 販売の経験、取引先のリスト | ブランド、取引先のリスト |
代理店が手放すのは「自分で商品を決める自由」です。
そのかわり、商品をゼロから作る時間とお金をかけずに、ほかの美容室へ売る経験を始められます。
そして、取引先のリストは、代理店の段階からすでに自社の手元に残ります。
mm.の代理店は「メーカーの仕事」を先に体験する設計
僕たちONLYPRODUCTSのmm.は、美容室専売のヘアケア商品の代理店です。
ただ商品を卸すだけではありません。代理店には、次のことを自社で行ってもらう設計にしています。
mm.の代理店が自社で行うこと
- 納品書・請求書の発行
- 梱包・発送
自社ブランドを立ち上げたら、同じことをすべて自社でやることになるからです。制度と流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>「mm.(ムム)」とは?サービス内容や強み・おすすめの人を解説!
僕たちは、代理店をブランドの前の段階と位置づけています。
まず代理店事業でステップを踏む。その間にファイナンスも強化しながら、メーカー事業までの柱をつくる。そういう考え方です。

代理店で手に入るのは、売上だけじゃない。取引先のリストと、メーカーの仕事の経験!
代理店から自社ブランドへ進む4つの段階

mm.の代理店から自社ブランドを立ち上げ、育てていくまでには、次の4つの段階があります。
どの段階も、前の段階で手に入れたものを使って進みます。
立ち上げ資金が足りない場合でも、ブランド事業を大きくできる見込みがあれば、ONLYPRODUCTSが出資することもあります。
出資した資金を元にブランド事業を立ち上げを支援します。
段階1:代理店になり、自店で売れることを確かめる
代理店契約を結ぶと、まず商品を在庫として持ち、自分の美容室で使います。
メニューに組み込み、お客様の反応を見る。ホームケアとして買ってくれた人が、もう一度買うかを確かめる。
「どんなお客様に、どう提案したら、どれくらいリピートしたか」。ここで集めた記録が、次の段階でほかの美容室に話すときの材料になります。
自店を検証の場にする考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>美容師の商品開発とは?自店を「ラボ・研究所」にしてBtoB収益へ広げる仕組み
段階2:ビューティーワールドで、ほかの美容室のリストをつくる
mm.は、美容業界の展示会「ビューティーワールド ジャパン」に出展しています。
2025年の大阪会場は、10月20〜22日にインテックス大阪で開かれ、業界関係者3万5,125人が来場しました。出展社は10の国・地域から593社です。
出典:Messe Frankfurt Japan「Beautyworld Japan Osaka 2025」プレスリリース(2025年11月7日)
代理店はブースに立ち、立ち寄った美容師に自店での結果を話します。
話を聞いてくれた人にはLINEに登録してもらい、その後のセミナーにつなげます。
こうして3日間で、「話を聞いてもらえる関係」のある美容室の名前と連絡先が集まります。
展示会で手に入るのは、リストだけではありません。
これまで来店したお客様にしか評価されてこなかった商品やメニューが、BtoBの展示会に出ることで「美容師さんにも評価されるんだ」と目の前で分かる。これも、僕たちが展示会に出る理由です。
段階3:リストが育ったタイミングで、自社ブランドを立ち上げる
代理店として売り、ビューティーワールドに出てリストを育てている。そのタイミングで、自社のブランドを立ち上げます。
いきなり作る場合との違いは、商品を作る時点で売り先の候補がすでにいることです。
展示会やセミナーで集まった美容師の反応は、どんな商品なら導入してもらえるかを考える材料にもなります。
立ち上げ資金が足りないときは、出資という選択肢がある
ブランドを立ち上げるには、商品の製造をはじめとした資金が必要です。
リストも育ち、ブランド事業を大きくできる見込みがある。それでも、自己資金だけでは立ち上げられない美容室もあります。
そうした美容室には、僕たちONLYPRODUCTS(OEM BANK)が出資し、その資金をブランドの立ち上げに使ってもらいます。そこから、ブランドを一緒に立ち上げていきます。
出資は、代理店になった美容室の全員が受けるものではありません。立ち上げ資金が足りず、かつブランド事業を大きくできる見込みがある美容室が対象です。
出資先は、店舗を運営している会社ではありません。ブランド(メーカー事業)のための新しい会社です。
経営の主体はブランドオーナー。OEM BANKが経営権を持つことはありません。
出資の目的や会社を分ける理由、出資先を決めるときに見ていることは、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>新たな取り組みとして「出資」プロジェクトが始動!OEMBANKが美容室のブランド事業に「出資」する理由
段階4:リストの美容室へ広げ、ブランド事業を大きくする
ブランドを立ち上げたら、段階2でつくったリストの美容室に、自社ブランドの商品を提案します。
すでに「話を聞いてもらえる関係」のある相手なので、ゼロから売り先を探す必要はありません。これまで扱ってきた商品と並べて提案する形は、後の「共存型」の章で解説します。
ブランドの売上は、導入してくれる美容室の数と、1店舗あたりの仕入れ額で決まります。導入サロンが増えるほど、BtoBの売上が伸びていきます。
導入サロン数ごとの売上の目安(利益ではなく売上)は、こちらの記事の「50サロン・100サロンで生まれる売上」で紹介しています。
>>美容師の商品開発とは?自店を「ラボ・研究所」にしてBtoB収益へ広げる仕組み

自店で確かめる、リストをつくる、ブランドを立ち上げる、リストの美容室へ広げる。この順番!
いきなり自社ブランドを作らない。代理店から始める3つの理由
4つの段階を見ると、「遠回りに見える」と感じる方もいるかもしれません。
自社ブランドを作りたいなら、最初から作ればいいのではないか、と。
それでも僕たちが代理店から始めることを勧めるのには、3つの理由があります。売り先、仕事の回し方、そして出資の判断材料。それぞれ順番に解説します。
売り先が、商品より先にできる
いきなり自社ブランドを作ると、「商品ができる → 売り先を探す」の順になります。
代理店から始めると、「売り先ができる → 商品を作る」の順になります。
在庫の量は同じでも、売り先の候補がいるかどうかで、在庫が売れるまでの時間の読みやすさが変わります。
在庫を抱える前に、受注・請求・発送・再発注を経験できる
メーカーの仕事は、商品を作ることだけではありません。
メーカーが回し続ける仕事
- 注文を受ける
- 請求書を出す
- 梱包して発送する
- なくなった頃に再発注を受ける
この繰り返しを回せないと、商品があっても事業になりません。
代理店の段階で経験しておけば、自社ブランドを立ち上げたときに「売れたのに、出荷が回らない」という止まり方を避けられます。
一緒に動いた時間が、出資の判断材料になる
僕たちの出資は、自己資金ではブランドを立ち上げられないものの、ブランド事業を大きくできる見込みがある美容室に、立ち上げ資金として出資するものです。申し込めば受けられる制度ではありません。
「大きくできる見込みがあるか」は、書類だけでは分かりません。
出資の記事でも書いたとおり、出資第一号の会社も、mm.の代理店として一緒に活動し、Beautyworldへ一緒に出展し、食事をしながらブランドへの想いを聞き、実際に動く姿を見てきた関係のなかで決まりました。
代理店の期間は、美容室にとってはメーカーの仕事を覚える期間です。
僕たちOEM BANKにとっては、「一緒に事業を育てられる相手か」を知る期間でもあります。
ただし、mm.は代理店向けの出資制度ではありません。
代理店になれば出資を受けられる仕組みではなく、お互いを知る接点の1つという位置づけです。
僕たちが出資をするのは、出資をすることで、より伴走がしやすくなるからです。

代理店の期間は、お互いを知る期間。出資は、ブランドの立ち上げを資金で支えるもの!
【事例】TOII(トイ):佐賀のサロンから生まれたブランド
出資第一号は、佐賀県で3店舗の美容室を経営する株式会社IROから生まれた、メーカー事業専用の新会社です。
ブランド名は「TOII(トイ)」。「美容師に問う」というコンセプトから名付けられました。
この会社がブランドの立ち上げに進むまでを、4つの段階にあてはめるとこうなります。
TOIIの4つの段階
- 段階1 自店でテスト:mm.の代理店として、自社の美容室で商品を使い、販売した
- 段階2 リストをつくる:OEM BANKと一緒にビューティーワールドに出展した
- 段階3 ブランドを立ち上げる:店舗とは別の新会社を作り、その会社に僕たちONLYPRODUCTS(OEM BANK)が出資。ブランド「TOII」の立ち上げを進めている
- 段階4 リストの美容室へ広げる:これからの段階
「共存型」のブランド立ち上げ。代理店も店舗も、捨てずに育てる
僕たちは、代理店から自社ブランドへ進むやり方を「より共存型のブランドの立ち上げ」と呼んでいます。
代理店をやめずに、自社ブランドを並べる
自社ブランドを立ち上げても、代理店として扱ってきた商品をやめる必要はありません。
段階2でつくったリストの美容室に、これまでの商品と自社ブランドの商品を並べて提案できます。
取引先から見れば、すでに付き合いのある相手から新しい商品の提案を受ける形です。
OEM BANKも株主として、同じ側に立つ
OEM会社が「商品を作って納品しました。あとは頑張ってください」で終わると、売れるかどうかは美容室だけの問題になります。
出資をすると、OEM BANKもブランドの会社の株主になります。
ブランドが売れることが、美容室とOEM BANKの共通の目標になります。
経営の判断は、ブランドオーナーが行います。
店舗事業とブランド事業を、会社を分けて両方育てる
TOIIの例のように、ブランドは店舗を運営する会社とは別の会社で立ち上げます。
店舗の数字とブランドの数字が混ざらないので、どちらかを犠牲にせずに両方を育てられます。
会社を分ける理由(将来のM&Aなど出口の設計)も、先ほどの出資の記事で解説しています。

代理店もブランドも、店舗もブランドも、どちらかを捨てずに並べて育てる!
自社ブランドに進める?代理店の美容室が確かめたい5つのこと
代理店として動き始めた美容室が「そろそろ自社ブランドに進めるか」を確かめるときの目安です。
自社ブランドへ進む前のチェック
- ①自店で売れて、リピートが出ているか(段階1)
- ②自店以外の美容室のリストがあるか(段階2)
- ③受注・請求・梱包・発送を回せる人がいるか(段階1〜2)
- ④店舗とは別の会社でブランドを持つ準備ができているか(段階3)
- ⑤自分でもある程度のリスクを負う覚悟があるか(段階3)
③の「回せる人」は、オーナー1人でなくてもかまいません。
スタッフに役割を持ってもらう方法と、幹部に新しい事業を任せる形は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>美容室の店販をスタッフが売れるようにする方法|売らされる店販から、誇れる提案へ!
>>美容師の離職率を下げる方法|美容室の「次の売上の柱」をmm.の代理店事業でつくる
④の法人化については、個人事業主と法人の比較表をこちらの記事に載せています。
>>「mm.(ムム)」とは?サービス内容や強み・おすすめの人を解説!
⑤は、OEM BANKが出資先を決めるときに見ているポイントの1つでもあります。

全部そろってから、じゃなくていい。いま何段階目かを知ることが先!
代理店から、自分たちのブランドへ
自社ブランドは、商品から始めなくていい。
売り先を先につくってから商品を作る。それが、代理店から始める一番の意味です。

売り先が先、商品はその次!
この記事のまとめ
- 自社ブランドで最初に詰まるのは売り先。美容所は全国27万4,070施設あるが、名前と連絡先と関係がそろったリストがなければ売れない
- 代理店から始めると、①自店でテスト ②展示会でリストづくり ③自社ブランドの立ち上げ ④リストの美容室へ広げてブランド事業を大きくする、の順に、売り先を先に持ってから商品を作れる
- 立ち上げ資金が足りなくても、ブランド事業を大きくできる見込みがあれば、ONLYPRODUCTS(OEM BANK)が出資して立ち上げ資金にしてもらう選択肢がある
- OEM BANKも株主として同じ側に立ち、店舗とブランドを並べて育てる
代理店から始めるか、いきなり商品をつくるか迷っている。いまの自分たちが何段階目か知りたい。そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。