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美容室のブランド事業をスタッフに浸透させる方法|売らされる店販から、誇れる提案へ

2026.07.30

美容室のブランド事業をスタッフに浸透させる方法|売らされる店販から、誇れる提案へ

こんにちは、OEM BANKラビットです。

この記事では、ブランド事業をスタッフに浸透させる方法を、販売トークではなく「なぜやるのか」と「何が返ってくるか」の設計から解説します。

自社ブランドを立ち上げようとしたとき、多くのオーナーは「スタッフが商品を売ってくれない」「現場が乗り気じゃない」「自分だけが一生懸命になっている」と感じることになりがち。

その原因を「販売トークが足りないから」「商品知識が不足しているから」だと考えます。しかし、本当の原因はそこではありません。

目的がないものに対して、人は動けません。

スタッフに「売らされている」感覚が生まれる原因は、販売方法よりも、ブランド事業のゴールが共有されていないことにあります。

この記事では、美容室のブランド事業をスタッフに浸透させる方法を、商品知識や販売トークではなく、「なぜやるのか」「どこを目指すのか」「スタッフに何が返ってくるのか」という設計の視点から解説します。

スタッフは反対しているのではなく、見えていないだけ

ブランド事業がうまく浸透しないとき、スタッフは反対しているわけではありません。多くの場合、次のことが見えていないだけです。

スタッフに見えていないこと

  • なぜ会社がブランド事業を始めるのか
  • 自分たちの仕事とどうつながるのか
  • どこを目指しているのか
  • 自分のキャリアや給与にどう返ってくるのか
  • 誰が何を担当するのか

これらが共有されないまま「自社ブランドを作る」とだけ伝えると、スタッフには「また仕事が増える」としか映りません。

スタッフが抵抗しているのは、商品そのものではなく、「自分が納得できないものを売らされる状態」かもしれません。

スタッフは反対してるんじゃない!目的と未来が見えていないだけ!

ブランド立ち上げ直前で頓挫した、あるサロンの話

実際に、立ち上げ直前まで進みながら、最終的にメーカー事業に至らなかったケースがあります。

そのサロンは、3店舗まで展開しており、オーナーは独立して約5年、幹部・マネージャーが5名という体制です。

オーナーから相談を受け、ブランド事業の説明を行ったところ、幹部陣も当初は「面白そう」と前向きな反応を見せていました。

セミナーに参加し、mm.の商品について代理店契約をし、3か月のテストをまで行い、開発する商品を決める直前まで進んだものの、最終的にメーカー事業の立ち上げには至りませんでした。

頓挫した理由は、スタッフの能力不足ではありません。オーナーが、以下を最後まで明確に伝え切れなかったことにあります。

  • なぜメーカー事業をするのか
  • どこをゴールにするのか
  • スタッフにどんな未来があるのか
  • 誰にどんな役割を任せるのか

幹部陣も、それぞれプレイヤーとして現場に立っていました。そのため、新規事業が「また仕事を増やされる話」に見えてしまったのです。

面白そうという入口の熱は、目的と役割が共有されないと、日々の忙しさの中で少しずつ冷めていきます。これは、ブランド事業でもっとも起こりやすい頓挫の形です。

入口の熱は冷めていく!目的と役割の共有がカギ!

ブランド事業は「社長が2割、幹部と現場が8割」

ブランド事業は、オーナーだけで完結しません。かといって、現場に丸投げしても進みません。

オーナーが最初の方向性とゴールを作り、幹部や現場スタッフが商品・販売・検証・営業を形にしていく。この役割分担が必要です。

社長が最初の2割を立ち上げ、残りの8割を幹部や現場が作っていく。この心構えがなければ、新規事業は進みません。

ただし、注意点があります。オーナーが商品を作って「あとは現場で売ってください」と渡すだけでは、スタッフは疲弊します。

ここでいう2割は、社長の仕事量が2割でよいという意味ではありません。事業の目的、ゴール、責任者、役割を決め、現場が動ける土台を作る部分を指します。

方向性とゴールを示し、なぜやるのかを語り続け、幹部や現場が8割を作れる状態を用意する。最初の2割の質が、残りの8割が動くかどうかを決めます。

2割は仕事量の話じゃない!現場が動ける土台を作ること!

ブランド事業を浸透させる8つのステップ

ここからは、ブランド事業をスタッフに浸透させるための流れを、8つのステップで解説します。順番にも意味があります。特に最初のステップを飛ばすと、あとがすべて崩れます。

STEP1|なぜブランド事業をするのかを決める

すべての出発点は、「なぜやるのか」を決めることです。

目的はサロンによって異なります。

  • 技術売上だけに依存しない収益を作る
  • スタッフの新しいキャリアを作る
  • 給与を上げられる事業を作る
  • 自店の技術やノウハウを全国へ広げる
  • 将来、現場を離れても会社に利益が残る状態を作る

目的を曖昧にしたまま「自社ブランドを作る」とだけ伝えると、「ブランド」という言葉だけが先行し、現場には作業だけが残ります。

なぜやるのか、どこを目指すのかが決まっていない事業に、スタッフは自分ごととして関われません。

STEP2|スタッフの声を集める

目的が決まったら、それを一方的に伝えるのではなく、スタッフの声を集めます。

現場のスタッフは、お客様のリアルな悩みを一番知っています。どんな悩みが多いのか、どんな商品なら提案しやすいのか。

こうした声を集めることで、スタッフは「聞かされる側」から「作る側」に変わります。

自分の意見が反映された事業には、人は自然と当事者意識を持ちます。

STEP3|スタッフ自身が商品を体験する

スタッフが使ったことのない商品を、お客様に自信を持って勧めることはできません。

まずはスタッフ自身が商品を使い、良さを実感すること。自分が「本当に良い」と思えたものだからこそ、自分の言葉で伝えられます。

体験のないおすすめは、どうしても「売らされている」トークになります。

STEP4|提案の判断基準を共有する

多くのサロンは「販売トーク」を統一しようとします。しかし、トークを暗記させても、スタッフの言葉にはなりません。

統一すべきなのは、トークではなく「判断基準」です。

項目トークを統一する判断基準を統一する
スタッフの状態台本を暗記する自分の言葉で話せる
提案の質画一的になるお客様に合わせられる
再現性言い回しに依存する誰でも同じ判断ができる
続けやすさやらされ感が残る納得して提案できる

「どんな悩みの人に勧めるのか」「どんな人には勧めないのか」という判断基準を共有すれば、スタッフはそれぞれ自分の言葉で、目の前のお客様に合わせて提案できます。

トークを統一するのではなく、判断基準を統一する。これが、提案を再現可能にする鍵です。

現場への共有方法としては、次のようなツールを用意する方法もあります。

ブランド事業で活用できる共有ツールの例

  • ブランドを作った理由をまとめた1枚資料
  • 勧める人・勧めない人を整理した提案基準表
  • 購入後の感想を集める顧客フィードバックシート
  • 販売本数・提案数・リピート数を見る定例共有表

トークの暗記じゃなくて、判断基準の共有!これで自分の言葉で提案できる!

STEP5|販売本数だけでスタッフを評価しない

ブランド事業では、「何本売ったか」だけをスタッフ個人の評価基準にする必要はありません。

店内販売だけを評価すると、次の報酬を得るためには、再び本人が提案して商品を売らなければなりません。これでは、施術と同じように、スタッフ個人の働く時間や販売力に依存します。

大切なのは、次の視点です。

  • 商品がお客様の課題を解決できているか
  • 現場で売上につながっているか
  • 他サロンから継続発注が生まれる仕組みへ発展しているか

個人に「もっと売って」と求めるのではなく、店販からBtoBへ、売り方そのものを変えていく。この視点が、後述する「売るたびに働く状態から抜け出す」ことにもつながります。

STEP6|利益と還元の考え方を共有する

スタッフにとって、新規事業は「仕事が増えるだけ」に見えやすいものです。だからこそ、利益がどう自分に返ってくるのかを共有する必要があります。

詳しい設計は後半で解説しますが、ここで大切なのは、会社が得た利益をスタッフに還元する意思を最初から示しておくことです。

「会社だけが儲かる事業」ではなく「みんなに返ってくる事業」だと伝わって、はじめてスタッフは前を向きます。

STEP7|スタッフに役割を持ってもらう

ブランド事業は、オーナーがすべてを抱えると続きません。スタッフに具体的な役割を持ってもらいます。

ただし、オーナーの思想をそのまま全員へ伝え続けるのは、特に複数店舗では現実的ではありません。

そこで必要になるのが、店長や幹部がブランドの「翻訳者」になることです。

オーナーの思想をそのまま伝えるだけでなく、日々の接客やスタッフの言葉へ翻訳する役割が必要です。

特に複数店舗では、店長や幹部がブランドの判断基準を理解し、現場で起きた迷いや疑問を拾う必要があります。

オーナーが方向性を示し、店長・幹部が現場に翻訳し、スタッフが実行する。この流れができると、事業は「オーナーの個人技」から「組織の事業」に変わります。

STEP8|定例ミーティングで改善する

ブランド事業は、一度立ち上げて終わりではありません。定例ミーティングで、提案の状況やお客様の声を共有し、改善を続けます。

提案基準表やフィードバックシートのようなツールを使えば、感覚ではなく事実をもとに話し合えます。

小さな成功事例を共有することで、スタッフのモチベーションも保たれます。

スタッフが本当に動くのは「目に見えた時」

ここまで進め方を解説してきましたが、最後にもっとも大切なことをお伝えします。

人の最終的な判断基準は、「目に見えるもの」です。言葉だけで「将来性がある」「売上が上がる」と説明しても、未経験の仕事はイメージできません。

スタッフの意識は、次のような目に見える出来事によって変わっていきます。

スタッフの意識が変化するステップ

  1. 商品が実際に自店で売れる
  2. お客様がリピートする
  3. スタッフが商品への評価を実感する
  4. 他の美容師からも評価される
  5. 他サロンから注文が入る
  6. ブランド事業の未来が現場でも見えるようになる

商品が売れる、注文が入る、外部の美容師から評価される。こうした事実が積み重なることで、スタッフの意識は自然と変わっていきます。

言葉で未来を語るより、目に見える事実を一つ作るほうが、スタッフの心を動かします。

言葉より、目に見える事実!売れた・注文が入った・評価された、が人を動かす!

美容展示会へ連れていく

スタッフに事業を実感してもらう方法の一つが、美容展示会へ連れていくことです。

自店のお客様だけでなく、全国の美容師から商品やメニューが評価される場を見せます。

スタッフは、自分たちが日常的に扱ってきた技術や商品が、他の美容師にも価値を持つことを実感できます。

他サロンからの注文を梱包・発送してもらう

もう一つが、実際に入った注文を、スタッフに梱包・発送してもらうことです。

「自分たちの商品が、他の美容室でも使われている」という事実を、自分の手で確かめられます。

単なる作業ではなく、ブランド事業の広がりを実感する機会になります。

現場主導でも成立する事例

ブランド事業は、必ずしもトップが強く主導する形だけではありません。弊社が支援したRAPOLでは、幹部やスタッフが中心となってブランド事業を進めました。

  • 4店舗で自社商品がよく売れた
  • 商品が売れたことで、スタッフがブランド事業の可能性を実感した
  • BtoBのセミナーや営業は、RAPOLのスタッフが中心になっている
  • 代表は主に意思決定を担っている

この事例は、現場主導でもブランド事業が成立するという他にはあまりない事例です。

商品が売れるという「目に見える事実」が、スタッフを動かした好例ですが、注意点もあります。

オーナーが外交や営業を主導する会社と比べると、意思決定や展開の速度は遅くなりやすい傾向があります。現場が中心だからこそ、日々の業務と並行して事業を進めることになるためです。

実際に、弊社が継続的に考え方や事業の方向性を伝えつづけ、毎週のようにZoomミーティングを行い、スタッフだけで回るように支援して実現しました。

現在は3か月から半年に1回程度の面談と、LINEでの情報共有を続けることで回っていますが、初期ではかなりの支援を行いました。

「自店で売れた」という事実がスタッフを動かした好例!

オーナー主導だと、立ち上がりが早い

一方、零秒女髪、engender、Relusterでは、トップがブランド立ち上げと外部への営業を積極的に行いました。その結果、スタッフへの浸透や売上の立ち上がりが早かったという特徴があります。

ただし、これは「トップダウンだから早い」という単純な話ではありません。速度を上げたのは、オーナーの具体的な行動です。

  • オーナー自身が、なぜやるのかを説明する
  • 言美さんから聞いた内容を、自分の言葉でスタッフへ伝える
  • オーナー自身がBtoB営業や外部との交渉へ動く
  • 決定を止めない

オーナーが「なぜやるのか」を自分の言葉で語り、自ら外へ動き、判断を止めない。この姿勢が、現場の迷いを減らし、展開の速度を上げます。

現場主導とオーナー主導、どちらが正解ということはありません。大切なのは、自社がどちらの形で進めるのかを決め、それに合った役割分担を設計することです。

スタッフのキャリアと給与に、どう返すか

ブランド事業を浸透させるうえで、避けて通れないのが「スタッフに何が返ってくるのか」です。

新規事業は、放っておくと「仕事が増えるだけ」に見えます。だからこそ、還元まで設計する必要があります。

還元方法は、ブランドの利益構造やスタッフの役割によって異なります。たとえば、次のような設計が考えられます。

ブランド事業で検討できるスタッフへの還元例

  • 展示会参加の日当
  • 商品販売のバックマージン
  • 他サロンへの販売による報酬
  • 継続発注によって生まれた利益の還元
  • 営業やブランド運営を担うキャリア
  • 美容師以外の役割を持てること

キャリアの面でも、ブランド事業はスタッフの選択肢を広げます。

商品開発への参加、店内教育の担当、他サロンへの導入研修、SNSやECの運営、お客様の声をもとにした商品改善、ブランドマネージャーとしての役割。ハサミを持つ以外の道が生まれます。

ブランド事業は「店販を売る仕事が増える」のではなく、美容師のキャリアの選択肢が増える取り組みだということです。

「売るたびに働く」状態から一部抜け出せる

店内販売では、スタッフが商品を売るたびに販売し直さなければ報酬が生まれない場合があります。これは、施術と同じ労働集約型の働き方です。

一方、BtoBで導入したサロンから再発注が入れば、本部に継続的な売上が生まれます。

その利益をスタッフへ還元することで、販売するたびに働かなければならない状態から、一部抜け出せます。

月1万円から2万円でも給与を上げたい美容師は少なくありません。

別のアルバイトをするのではなく、いまの仕事の延長で収入を増やせる。これは、スタッフにとって大きな意味を持ちます。

いまの仕事の延長で収入を増やせる!これはスタッフにとって大きい!

浸透するのは「なぜやるか」と「何が返ってくるか」が見えたとき

スタッフにブランド事業が浸透するのは、「売る方法を教えたとき」ではありません。なぜやるのかと、何が自分に返ってくるかが見えたときです。

この記事のまとめ

  • スタッフは反対しているのではなく、目的・役割・未来・評価が見えていないだけ
  • オーナーがWhyとゴールを示し、幹部と現場が運用を作る
  • 商品が実際に売れ、外部から評価されることで理解が進む
  • キャリアと給与へ還元し、スタッフの選択肢を増やす
  • ブランド事業を、会社とスタッフ双方の未来にする

ONLYPRODUCTSは、OEM BANKを通じて、美容師が持つ経験や技術、顧客理解をブランド事業へと形にするお手伝いをしています。

商品づくりだけでなく、スタッフへの浸透や販売設計、事業化まで含めてサポートしています。

とはいえブランドは、あくまでオーナー自身の事業です。

だからこそ、最終的には自社で伝え、自社で動かせる体制を作ることが重要だと考えています。僕たちは、その体制ができるまでの伴走役です。

「自社ブランドを立ち上げたいが、スタッフにどう浸透させればいいかわからない」「なぜやるのか、どこを目指すのかから一緒に整理したい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。